iPhoneやMacなどで知られるインターネット・デジタル関連製品のハードウェア・ソフトウェア開発の大手米アップル社が動画配信サービス大手のNetflixを買収するのではないかとアメリカのメディアが報じています。
情報元は金融大手のCitiです。
Citi社のアナリスト達は、アップル社がNetflixを買収する可能性があることを自社の顧客にレポートで伝えています。
現状でもその確率は40%と決して低いものではありません。
アップル社は動画レンタル・動画データの販売サービスの事業展開を行なっており、音楽の分野でも音楽データの ダウンロード販売やサブスクリプション型のサービスを行なっています。
今年2018年の初旬には自社製のスマートスピーカー「HomePod」を発売する準備をしており、AmazonやGoogleが先手を打っている「コネクテッドホーム」の分野の刈り取りにかかっていくことになります。
そこから考えると、アップル社がNetflixを買収する可能性は十分にありえるのではないでしょうか。
また、アメリカの政策がアメリカ企業のM&Aを後押ししているという背景もあります。
現大統領のドナルド・ジョン・トランプ氏は、 多国籍企業が現金を海外からアメリカ国内にうつした場合、 その現金にかかる税金を軽減するという政策をうちだしています。
そのため、アメリカに現金をうつす多国籍企業は多く、 アップル社も海外に置く多額の資本をアメリカ国内にうつすことが考えられます。
その資金の使い所として、M&Aの資金にあてることは極めて現実的な選択肢のひとつといえるでしょう。
Netflixはユーザーの獲得も順調であり、無理にM&Aに応じなければならないということもありません。
Netflixを買収したいという企業はアップル社意外にもかなりの数にのぼると想定されるため、Netflixは買収に対しては慎重に動くのかもしれません。
Netflix側の懸念事項としては、 昨年2017年の8月の「ディズニー」の発表があります。
ディズニーはNetflixに自社コンテンツを提供し、両者は今まで協力関係にありました。
しかし、2017年8月、ディズニーは2019年に自社独自の動画配信サービスを開始することを発表。同時に2017年中でのNetflixからの撤退を告げました。
今後、ディズニーだけではなく他のスタジオもNetflixから撤退するリスクは避けることができません。
その際、Netflixの競合優位性を担保するのは、 Netflix独自のオリジナルコンテンツです。
現に、Netflixのファンの多くは、「フラーハウス」や「ストレンジャーシングス」などのNetflixのオリジナルコンテンツに魅力を感じ、Netflixとの契約を続けています。
今後、Netflixがさらに新規顧客を獲得していく上で、 自社同様、「アップル」というコンテンツ自体に大きな魅力を感じるファン層を抱え込むアップル社とのM&Aは高い価値を生み出す可能性があります。
自社コンテンツに自信があるからこそ、 アップル社の持つ厚い顧客層は魅力的にうつるはずです。
アップル社はハード・ソフト両面から顧客を囲い込むことに長けた企業です。
MacやiPhone、HomePodを購入したユーザーに、iTunes・Apple Music・App Storeなどでコンテンツを提供します。
ハード・ソフトともに高いユーザー体験を保証してきたアップル社のプロダクトには多くのユーザーが高い期待をもっており、正当な努力によるさらなる売上拡大も非常に期待することができます。
アップル社は正当な努力として、 スピルバーグ監督製作のテレビドラマのリメイク権の獲得、Amazon・Hulu・Sonyから映像ビジネスに長けた人材のヘッドハントなどを行なっています。
Apple Musicで配信するオリジナルコンテンツの予算として、 日本円にして1,100億円以上を準備し、 買収予算に関しても、Citi社のアナリストの分析によれば9兆円を超える金額を用意していることになります。
動画配信やwebサービス、Iotに関するM&Aは 市場ニーズから今後もさらに高まっていくことが期待されるでしょう。