CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)がまたしても国内有名出版社の買収を行いました。
2017年3月の徳間書店の買収に引き続き、12月15日に主婦の友社の買収を行いました。
カルチュア・コンビニエンス・クラブは、一般にレンタル業が主体の会社と思われることが多いですが、2014年以降は書店の売り上げがレンタルを上回っており、その店舗数は国内最大。
書店大手として有名な紀伊国屋書店以上の規模をもつ大型書店事業を運営しています。
CCCの既存事業の柱である「書店」「レンタル」のサービスはともに海外勢を中心としたwebサービスと競合しています。
書店事業は、独自端末・ソフトウェアをもつAmazonの「kindle」などの電子書籍に、レンタル事業は、同じくAmazonの「Amazon Prime」や「Hulu」「Netflix」などのサブスクリプション型のweb動画閲覧サービスにシェアを奪われています。
そのため、一見不調とも見えるCCCですが、売上高は5期連続、営業利益は3期連続で増収増益となっており、その経営は非常に好調です。
今後の課題としては、消費者行動のweb媒体への移行や、サブスクリプションサービスへの需要の変化へどのように対応していくかが非常に重要になっています。
2014年には「Book Live」と提携し、電子書籍サービスに参入し、レンタルに関しても2017年10月からサブスクリプション型のビジネスモデルである「TSUTAYA プレミアム」を導入しました。
ハードウェアに関して競合と十分に勝負できる土台づくりを進めているCCCがM&Aに力を入れている理由はソフトウェアの強化にあります。
動画サービスにおいて、 「Amazon」「Hulu」「Netflix」などのサービスが大きなシェアを持つことができている理由。
それは独自コンテンツの強さにあります。
各動画サービスともに、最新の映画を放映したり自社独占で配信するコンテンツを用意していますが、
それだけでは十分な競合優位性を獲得することはできなくなっています。
自社サービスの強みとして、自社のオリジナルコンテンツを配信することによってユーザーの獲得をしています。
書籍に関しても同様のオリジナルコンテンツの配信は効果的です。
ただ書籍に関しては、
・動画よりも収益性は低い
・マンガ市場の売り上げが圧倒的に高いという日本の独自の市場
・日本語の使用
などの理由で海外勢の進出は動画ほど激しくはありません。
そのため、
CCCは出版社の買収を行い、自社の独自書籍・独自コンテンツの作成によって、書籍事業において海外勢の一歩先を行こうとしています。
2017年3月には、CCCの創業経営者である増田宗昭氏が同社の年次会合で「Amazonに勝つには製造小売をしなければならない」という趣旨の発言をしていることからもCCCの本気が感じられます。
徳間書店、主婦の友社と有名出版社の買収を行ったCCCは今後の戦略として、出版社以外にも、動画制作や音楽制作の能力のある会社とのM&Aを行っていく可能性もあります。
今後、日本で企業がより発展していくうえでCCCのように市場全体を大きく見据え、市場分析・競合分析・自社分析・顧客分析をしっかりと行ったM&A戦略が今後は必要になっていくのだと思います。