日本国内では広告代理店として圧倒的なシェアをもつ電通ですが、 2012年以降、海外戦略にも非常に力を入れており様々な国でのM&A戦略をとっています。
2012年7月12日のイージスグループとのM&Aは広告業界最大のニュースであり、 広告マンで知らない方はいないでしょう。
イージス社とのM&Aにより海外の活動拠点を手にした電通は、 海外での躍進を続けその後2015年までに計51社とのM&Aを成功させました。
電通がM&Aを行った国は非常に多岐にわたり、 ブラジル、ルーマニア、カナダ、インド、中国、フランス、ガーナなど、 計140ヵ国300拠点をこえるまでに電通は成長しました。
電通のM&A戦略の成功の陰には、 海外M&A戦略で過去最大の買収を行ったイージス社の存在があります。
広告業界は世界的にM&Aが盛んな業界ではありますが、 電通とイージス社のM&Aは広告業界のM&A史上2番目に大きなM&Aとして広告業界を賑わせました。
2012年当時、日本の広告市場が低迷しており、また電通が得意のテレビ広告の分野からインターネット広告の分野への広告費のシフトが始まっていました。
イージスはイギリスの大手広告会社であり、世界の広告会社ランキングでも第8位に位置する企業です。
ただ、電通にとってイージスとのM&Aはそういったそういった部分にはなく、 (実際、当時広告代理店ランキング5位の電通と8位のイージスがM&Aを行っても電通のランキングは5位のままでした。)
海外での活動拠点となる海外本社を得ること、不得手であったインターネット広告に強い会社を得ることにありました。
イギリス最大手のイージス社はインターネット広告分野の知見を多く持っているため、 イージス社とのM&Aは電通の海外戦略における躍進にとって欠かせないものでした。
イージス社とのM&Aを果たした後、電通は電通イージスネットワーク社をロンドンに立ち上げ海外展開の拠点としました。
電通イージスネットワーク社を拠点にすることで電通の海外M&A戦略は大きく躍進しました。
2017年現在電通グループの売り上げの54.0%を海外事業が構成するまでになっています。
海外市場には国内のライバル企業である博報堂やADKも積極的です。
また、国内のインターネット分野ではサイバーエージェントが規模を拡大しており、 インターネットテレビを武器にテレビ広告のシェアを奪いに来ています。
海外シェアをより伸ばしていくのか、インターネット広告の分野への注力度を高めていくのか、電通の今後の動きが気になるところです。