以前より積極的なM&Aを行ってきた米Microsoftですが、 今回、2013年に業界の先駆け的に立ち上げられたAltspaceVRとのM&Aを発表しました。
ソーシャルVRとは、バーチャルリアリティ・ソーシャルネットワークの略のことです。
仮想現実上で他社とのコミュニケーションをとることが出来るのがソーシャルVRの特徴で、米Facebookがベータ版をリリースしている「Facebook Spaces」や、 米Against Gravityが同じくベータ版を提供している「Rec Room」などゲーム産業やSNS産業で近年活発に取り入れが進んでいます。
VR技術自体が新しい技術のため、ユーザーへの浸透はこれからとなります。
ソーシャルVRが普及するにはVRを利用するためのVRヘッドセットが不可欠です。
VRヘッドセットの単価は決して安いものではなく、規格の統一もまだまだ進んでいないため一般消費者に取って購買ハードルは低くはありません。
ハード開発も手掛けるMicrosoftは、 AltspaceVRを買収することでVRヘッドセットの市場を含めたソーシャルVRの市場シェアを大きく刈り取っていこうと考えているのかもしれません。
VR向けヘッドセットの開発・販売を行っているOculusが2012年に資金調達のためのキャンペーンを大々的に行い、「VRルネサンス」と呼ばれるVRブームに火が付きました。
その2年後にはFacebookがOculusを買収。
現在ベータ版が提供されているFacebook SpacesとVRヘッドセットの提供により業界シェアを大きく刈り取れるであろう動きを見せています。
skypeやLinkedInなどソーシャルコミュニケーションツールのM&Aに力を入れてきた Microsoftが次世代ハードウェアの主軸となるVR産業への参入を考えた際に競合と差をつける必要がありました。
AltspaceVRはソーシャルVRの古参でありながら、資金運用難により撤退を発表していました。
そのため、Microsoftが必要とする技術を比較的安価に入手することができるため今回のM&Aに踏み切ったと見られています。
Altspaceは、ソーシャルVRの最古参であったため、 ユーザーを集める努力を強く継続的に行ってきました。
多くのソーシャルVRは、特定のVRヘッドセットにしか対応していない中で、 AltspaceのVRサービスは全てのVRヘッドセットが使用できるようにしたり、VRヘッドセットをまだ所持していないユーザーはヘッドセットがなくともログインできるようにしていました。
そういったソーシャルVRのなかでも特にオープンな姿勢のAltspaceのM&Aをすることは、 ソーシャルVRのシェアを大きく刈り取る上で非常に優位に働く可能性があります。
手堅いM&Aを行うことで有名なMicrosoftがソーシャルVRの事業を購入することは、 ソーシャルVRが市場で広く活用される時代の幕開けを意味するかもしれません。