NANDメモリーの供給世界ランク2位の東芝の半導体チップ事業の売却について、 東芝は半導体チップ事業の売却をBainグループを中心とするコンソーシアムと正式に合意しました。
このコンソーシアムにはAppleも参加しています。
NANDメモリーはかなりの数のスマートフォンで採用されているほか、パソコンにも多く採用されているメモリーのため供給量世界2位の東芝の半導体チップ事業売却にはスマホ業界全体が注目しており、このM&Aの成立はスマホ業界全体に大きく影響を与えると見られています。
今年3月、東芝傘下の原子力関連事業子会社であるウエスチングハウスの倒産により 東芝は数十億を超える損失を抱えることになりました。
損失額があまりにも大きいため、損失の補填を2018年までに出来ない場合、 東芝は東京証券取引所への上場を廃止されてしまうことが濃厚な状態でした。
そのため、損失の補填として半導体チップ事業の売却を決断。
3月以降、事業の売却先を慎重に検討していました。
東芝の半導体チップ事業は供給量世界第2位と、 その事業売却の影響はテクノロジー業界全体に広く及びます。
そのため、 東芝も事業の売却先は慎重に検討し、 Bainグループを中心としたコンソーシアムへの事業売却を決定するまでに、 日本の公的ファンド2社、アメリカの投資ファンドKKRなど投資ファンドからのM&A提案を拒否しています。
GoogleやAmazonをはじめとするテクノロジー大手も今回のM&Aの入札に参加しており、 テクノロジー業界全体への影響の大きさが伺えます。
特に、東芝の半導体チップ事業の売却の情報を熱心に集めていたのはAppleです。
iPhoneによりスマホ市場全体の20%のシェアを獲得しているAppleは、 スマホ市場の40%のシェアをもつSamsungをライバル企業として見据えています。
今回の東芝の半導体チップ事業の売却によりSamsungが事業購入することになれば、 さらに多くの市場シェアを奪われかねません。
そのため現在、既にメモリーチップ世界1位の企業であるSamsungに対抗するため、 今回のM&Aに際しAppleは多額の資金投下を行いました。
一部の情報によると、Appleの今回のM&Aへの投資額は70億ドル=7,910億円にのぼるとも言われています。
半導体チップ事業は東芝からBainグループを中心とするコンソーシアムに事業売却されますが、 半導体チップ事業の運営は今後も東芝が続けることになります。
運営にあたり、東芝からも31憶ドル=3,505億円の資金を投下します。
事業売却にあたっては、 今回のM&AがクロスボーダーM&Aとなるため 日本国の証券取引法や独占禁止法をクリアするための課題をクリアする必要があります。
そのため、東芝とコンソーシアムは、日本企業であるHoyaと東芝に50%を超える議決権を与えるなど調整を続けています。
このような調整には今後まだまだ日数がかかると思われます。
しかし、東京証券取引所からの上場廃止までのリミットがある東芝としては、 2018年の3月までに全ての調整を終えたいと考え・調整を進めています。
東芝の半導体事業売却によって、 今後スマホ業界はどのように変化していくのでしょうか?
M&Aコラム